自宅の相続、危険がいっぱい!

仲が良くても共有名義は避けよう

私ごとですが、昨年身内に不幸があり、悲しみにくれる暇もなく、やらなくてはならない手続きや儀式が山のように押し寄せてきます。まあ、面倒なことばかりです。そんな中でふと疑問に思いました。

「こんな大変なこと、みんなよくやってるなぁ。特に相続とか、遺産分割協議書作ったりしてるのかなぁ? 不動産は特に面倒そうだけど、自宅持ってる人多いよね。」

そんな疑問をちょっと投げかけたら、「みんな同じずつ分けた」という声をあちこちから聞きました。例えば、父が死亡した場合、母と子2人が法定相続分のまま相続すると、妻が1/2、子はそれぞれ1/4ずつです。

相続したのち、将来売却したいと思ったとします。
売るときには、「所有者全員の同意」が必要になります。不動産を担保にお金を借りたい、という場合も同様です。具体的には実印と印鑑証明書が必要です。全員の同意がすぐに取れますか? 書類を揃える協力はしてくれますか? もし、誰かが遠くに住んでいたり、親族間でも仲が悪かったりすると売るに売れない状況になります。

兄弟・姉妹が仲がいいから大丈夫、と思っていても、高齢になり相続したどちらかが死亡し、その共有持分を夫や子どもが相続したら? など時間が経てば経つほど面倒そうなことが考えられます。

不動産の所有はなるべく単独名義で、が鉄則です。

相続による名義変更の登記もお忘れなく

もう一つ不動産の面倒な点は名義変更の登記です。登記するだけでも面倒なのに、法定相続分での相続でないと登記するには「遺産分割協議書」が必要になります。さらに登記費用もかかります。素人でわからなければ、司法書士に頼まなくてはならないという点も煩わしいです。でも、登記しなくても、当面特に問題は起きません。そのため、相続による名義変更の登記を行わない人も多いと聞きます。

しかし、この場合も売却や不動産を担保にお金を借りるという場合に大きな手間がかかります。例えば、父が死亡した時に子が相続をしたが、その時点では登記はせず、そのまた子どもに相続されてから売却しようとすると、この人からすれば祖父にまで遡って、戸籍を集めたり、遺産分割協議書を作成したりしなければなりません。もしかしたら、面識もない遠い親戚に協力を仰ぐことになるかもしれません。これが共有名義だとすれば、さらに煩雑な手続きになりそうです。

将来に面倒な手続きを先延ばしにしないように、相続が発生した時点で名義変更の登記も済ませて起きましょう。

このような事態を招きかねないのも、自宅(実家)は分割しにくいなどの理由があるためです。親に万一のことがあった場合、親の自宅をどうするかというのは、50代にとっては差し迫った課題の一つでしょう。関係者が少ないうちに、つまりはなるべく早めに親子間、または兄弟・姉妹間で決めておくことが解決策の一つです。

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